視野が欠ける（視野欠損）、視野が狭くなるとは
視界の異常は、見え方によって疑われる疾患が異なります。視野の一部が欠けて見える場合、緑内障や網膜剥離、網膜静脈閉塞症などが疑われます。中心部分に近い場所で視野欠損が起こっているとすぐに自覚することができますが、周辺の欠損では気づきにくいことがあります。片目で欠損が起こっていても、正常に見えるもう片方の目で無意識に情報を補完するため、正常に見えていると勘違いします。緊急性の低いものから高いものまで様々な疾患がありますので、疑わしい症状がある場合にはお早めにご相談ください。
視野が欠ける（視野欠損）、視野が狭くなる原因
緊急性が高い視野欠損を
起こす疾患
網膜剥離
網膜剥離とは、加齢や外部からの衝撃によって網膜が剝がれてしまう病気っている状態です。網膜の役割としては、目の中に入った光が写し出されるところで、カメラのフィルムに相当し、網膜に亀裂や穴が開き（網膜裂孔）、網膜剥離になります。加齢によって生じる場合の他にはスポーツなどで眼球打撲を受けると急激に眼球が変化して網膜裂孔が生じることがあります。網膜剥離を起こすと剥がれたはがれた部分の視野が欠けてしまい、視力の大幅な低下や最悪の場合には失明に陥ることがあります。見える機能を少しでも残すために、は何か目に違和感を覚えましたら、お早めにご相談ください。症状の変化に気づいた時には早めの眼科受診が必要です。
網膜中心静脈閉塞症
網膜静脈閉塞症は、網膜に栄養を送る静脈が詰まってしまう病気で、詰まる箇所によって網膜静脈分枝閉塞症と網膜中心静脈閉塞症に分類されます。網膜中心静脈閉塞症は、網膜中心静脈が詰まった状態で、急激な視野欠損を起こします。網膜静脈閉塞症の原因は動脈硬化による詰まりです。眼科での治療も重要ですが、循環器内科を受診して、血管状態を調べてもらうこともお勧めいたします。
急性緑内障発作
急性緑内障発作とは、隅角が狭くなり、房水の出口が塞がり、眼内で水がどんどん溜まっていく病気です。正常な眼圧は10～20mmHgですが、30～50mmHgまで急激に上昇します。眼圧の急上昇とともに突然起こる強い眼痛や頭痛、吐き気、かすみ目などが生じます。処置が遅れてしまうと失明に至る可能性がありますので、早急な治療が必要な病気です。なお、急性緑内障発作は、脳出血と症状が似ているため、脳外科や内科に救急搬送され、治療が遅れることもあります。治療としては、眼圧を下げる点滴や点眼薬の使用、レーザー治療または手術となります。
継続的な治療が必要な
視野欠損を起こす疾患
緑内障
緑内障はよくある病気であり、日本人の中途失明の長年上位を占める病気になります。自覚症状に乏しく、眼圧の上昇が確認される病気です。点眼薬を中心とした適切な治療が必要になります。放置することで失明してしまう可能性もありますので、リスクの高まる40歳を過ぎたら、定期的な眼科検診を受け、緑内障などの早期発見・早期治療に繋げましょう。
糖尿病網膜症
糖尿病網膜症とは、糖尿病による高い血糖値が続くことで血管にダメージを与え、出血し、視力低下などを生じる病気です。放置すると網膜剥離や失明に繋がる危険性があります。実際に糖尿病網膜症は日本において失明の3番目に多い疾患とされています。糖尿病と診断されたら定期的に眼科を受診し、血糖のコントロールを行っていくことが大切です。
網膜色素変性症
網膜色素変性は、眼の中で光を感じる組織である網膜に異常が見られる遺伝性の病気で、夜盲や視野狭窄、視力低下が特徴的な症状です。網膜色素変性は杆体細胞から障害されるため、夜盲が最初に症状として現れ、進行すると周辺の視野が狭くなって物にぶつかりやすくなったり、物が見えたり消えたりする症状が現れます。更に進行すると錐体細胞も障害され、視力低下を自覚するようになります。
加齢黄斑変性
加齢黄斑変性とは、老化や紫外線、喫煙、遺伝、生活習慣などに伴い、眼の中の網膜を中心に出血やむくみが現れ、視力が低下する病気です。50歳以降の男性に多くみられる傾向があります。なお、加齢黄斑性は欧米人に多く日本人に少ないタイプの萎縮型と、日本人に多い滲出型に分類されます。いずれにしても放置すると進行してしまい、視力の回復が難しくなりますので、お早めにご相談ください。
硝子体出血(眼底出血)
眼底出血とは、網膜に数多くある毛細血管と呼ばれる細い血管が詰まったり、破れることで発症する病気です。糖尿病や高血圧症、腎臓病、動脈硬化などにより、循環状態が悪くなり生じることもあります。網膜裂孔・剥離に伴う場合もあります。自覚症状としては、視界がゆがむことや視界がかすむ、実際にいない虫のような黒いものが見えるなどといったものが生じます。レーザー治療など早急な治療を必要としますので、お早めにご相談ください。
