いぼってどんなもの?
いぼとは小さなできものの俗称で、皮膚の一部が盛り上がっているものを指します。いぼと呼ばれるものは大まかに分けて2種類あり、ウイルス感染が原因のもの、体質によるものがあります。
ウイルス感染が原因のいぼ
ウイルス感染が原因のいぼの代表的なものには、手足によくできる尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)、顔などに出来る青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい)があります。また、子供の体によく見られる水いぼも伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)ウイルスの感染が原因で生じます。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
尋常性疣贅は、ヒトパピローマウイルスと呼ばれるウイルスが皮膚の角化細胞に感染することで生じます。一般的にいぼと呼ばれるもので、自覚症状がなく、小児や成人の足底や手足の指に出来ることが多く、皮膚が白く半球状にに盛り上がり、大きさは様々で数mmのものから数cm程の大きさのものまであります。ウイルスは皮膚の細かい傷から侵入し、感染するため、別の部位や他人に移ることがあります。公共施設のプールや温泉、ジムにある足ふきマットを介して感染することもあります。治療法としてマイナス196℃の液体窒素で凍結させる冷凍凝固法が主体となります。難治性の場合には外用薬や漢方薬のヨクイニン内服などを併用することもあります。
青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい)
青年性扁平疣贅は、ヒトパピローマウイルスが原因で感染、発症します。青年期女性の顔や手多く、薄紅色に平たく広がり、数多く出現することが特徴です。同時に数多く出現し、痒みが生じ、傷つけてしまい、新たないぼができていぼが癒着することがあるため、注意が必要です。多くは免疫ができると特別な治療を行わなくても自然に治りますが、中には長期に渡って治らないこともあります。積極的な治療を行う場合には、ハトムギから抽出した成分の漢方のヨクイニンの内服や、液体窒素でいぼを凍らせて除去する方法などを行います。患者様それぞれの症状や状態に合わせて治療方法を決定します。
水いぼ
水いぼとは、3歳~15歳の子どもに多く感染する伝染性軟属腫ウイルスによるもので、身体、腋、股、大腿などに数か所~多数見られます。皮膚が隆起して水っぽい光沢を帯びた形状で、大きさはそれ程大きくなく、数mmから5mm程度です。皮膚の接触が主な原因のため、学校で水泳の授業やタオルの共有がきっかけで感染することがあります。毛を介してウイルスが侵入し、体毛が生えている場所であれば感染する可能性があります。痛みや痒みといった自覚症状は少ないものの、引っ掻いて傷ができることでウイルスが別の場所へ感染して拡がる可能性があります。半年~3年程で抗体ができることで自然治癒しますが、見た目や感染防止などの理由から積極的に治療を行うこともあります。治療法としては、専用ピンセットを用いて水いぼを取り除きます。当院では治療前に痛みを軽減させる局所麻酔テープを使用した後に1時間程度おいてから治療を行います。
帯状疱疹
帯状疱疹は、水疱瘡と同じウイルスのヘルペスウイルスの一種である水痘帯状疱疹ウイルスが原因となります。水疱瘡に罹患歴がある人や水痘ワクチンの予防接種の経験がある人は体内にウイルスが潜んでいます。ストレスや免疫力の低下、加齢によってウイルスが目覚め、ウイルスが神経を介して帯状疱疹を発症します。帯状疱疹を発症すると、身体の左右どちらかにピリピリと刺すような痛みを感じ、さらに痛みを伴う赤い斑点ができて帯状に拡がります。症状の多くは身体の片方に偏って発症しますが、特に上半身に頻出し、頭部から足先のどの部分にも出現する可能性があります。皮膚の症状が治まると痛みも次第に消えていきますが、神経の損傷の程度よっては神経痛が残ることもあります。
帯状疱疹後神経痛について
帯状疱疹の皮疹の消失後(発症後3ヵ月以上)も神経の痛みが続くことがあり、これを帯状疱疹後神経痛といいます。この神経痛を発症する方は帯状疱疹の皮膚症状がひどく、重症化した方に多いとされます。また、高齢の方や糖尿病の基礎疾患がある方も帯状疱疹後神経痛を発症しやすい傾向にあります。帯状疱疹の痛みはウイルスによって傷つけられた神経がダメージを受けることで生じます。この痛みに有効な内服薬を服用することで症状を和らげる治療をします。また、帯状疱疹発症後72時間以内に抗ウイルス薬による治療を開始すると帯状疱疹後神経痛になりくいことが知られています。
当院の治療
内服薬による治療では抗ウイルス剤を使用します。内服薬には服用回数が異なるものがあり、1日3回服用のファムビルⓇ(ファムシクロビル錠)やパルトレックスⓇ(パラシクロピル塩酸塩)、1日1回服用のアメナリーフⓇ(アメナメピル錠)があり、高い効果を発揮します。抗ウイルス剤は内服開始後1.2日は効果を実感することができないこともありますが、1週間程飲み続けることで効果を実感できます。さらに痛みや痒みが強く出ている場合には外用薬や鎮痛剤を処方することもあります。帯状疱疹のような症状が現れた場合には、早期の受診をお勧めします。
シングリックスⓇ(帯状疱疹の予防接種)
シングリックスは今までの水痘ワクチン(ビケン製の生ワクチン)と比較して高い帯状疱疹予防効果を発揮し、50歳以上で97.2%、70歳以上で89.8%の試験結果が出ています。これにより、高い有効性と安全性が確認されています。
このシングリックスは発症予防効果が11年以上持続することが確認されており、効果持続期間が今後も伸びていくと言われています。費用対効果を除いて帯状疱疹の予防には非常に有効です
現在当院では取り扱っておりませんので、接種をご希望の方はまずお問い合わせください。